面接の基本3 外的対処法
皆さん、ストレスがたまったときに何をしますか？
「運動する」、「お酒を飲みに行く」、「カラオケに行く」などその答えは様々でしょう。しかし、そんなことをしてもストレスの原因になっている問題が解決するわけではないのですから、無駄ではないだろうかという意見をよく耳にします。
しかしそれは大きな誤解です。
「この仕事は嫌だな」とか「なんでこの仕事を自分がやらなくてはいけないのか」と思いながら仕事をしていると、普段より効率が落ちてしまう経験をしたことがあると思います。
人は過度に緊張が高まった状態（何かに「怒り」や「不満」を持った状態もそのひとつです）では最良のパフォーマンスを発揮することができません。いわゆる「程よい緊張感」が重要なのです。外的対処法には過度の緊張を程よい緊張に緩め、物事に取り組むための最良のコンディションを作り出す作用があるのです。
しかし、この外的対処法は個人差が大きいということを忘れてはいけません。運動嫌いの人から見れば運動は大きなストレスでしょうし、くすぐったがりの人からすればマッサージは苦痛になってしまいます。
外的対処方法にはみんなにとってこれが良いという方法があるわけではなく、各々が自分のストレスを緩める方法を知っておくことが大切ということです。そして何よりも、自分の外的対処法を他人に押し付けないことが重要なのです。
例えば、クライアントに、ストレス対処として外的対処法を提案したい、あなたはどう話しますか？
よくある対処法や自分が普段行っている対処法を安易に提案するのはよくありません。
まずはクライアントに考えてもらうことが大事です。
職場の人間関係に悩み、最近夜寝つけないクライアントとの対話例を考えてみました。CCはキャリアコンサルタント、CLはクライアントです。
CC 最近寝つけないことがあるとのことですが、寝つきがよくなるように何か試してみたことはありますか。
CL そうですね、いつもより早く布団に入りましたが、効果はありませんでした。
CC 早く布団に入ってみたけど寝つけなかったんですね。ほかに試したことはありませんか。
CL 今のところそれだけです。
CC 何かあなたにあった方法があるといいんですが・・・
CL 何かないでしょうか。
CC 寝つきのことは置いといて、あなたがリラックスできることって何かありませんか。
CL ・・・、思いあたりませんが・・・
CC 少し視点を変えてみましょう。あなたの好きなことは何ですか。どんなことをしているとき楽しいですか。
CL 映画が好きで、好きな映画は何度も観ています。
CC 寝る前に映画を見ると目がさえてしまいそうですね。
CL そうです。きっとエンディングまで見てしまいそうで、寝不足になりそうです。
CC 映画を見ると興奮してしまいそうですから、好きな映画音楽はないですか。心が穏やかになる曲を聴くというのはどうですか。
CL それはいいですね。これを聞くと落ち着く曲がいくつかあります。
方策がすぐに見つからないことはよくあります。そんなときは簡単に諦めず、いろんな角度からクライアントの考え、気持ちを確かめていくことが大事です。クライアントに考えるヒントを提供していく。それを繰り返すことで必ず打開策が見つかります。コンサルタントは普段から方策の引出しを増やすことが重要だとお分かりいただけると思います。
次回以降では自分の心の柔軟性を磨く内的対処をご紹介していきます。今回紹介した外的対処と内的対処をバランスよく用い、ストレスと上手に付き合う方法を身につけましょう。
